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ご紹介したい本があります。

『読む喜びをすべての人に 日本点字図書館を創った本間一夫』
 金治直美=文 佼成出版社 感動ノンフィクションシリーズ

幼いころに視力を失い、のちに日本に点字図書館を創立した、本間一夫さんの体当たり人生を綴ったノンフィクションです。

読み終えて、ああ、そうか、と、無茶苦茶当たり前のことに気づきました。
ノンフィクションは結末がわかってる、ということです。
「日本点字図書館を創った」とタイトルに書いてあり、「創りたかったけど、あと一歩でダメだった男」ではないんです(それはそれで読んでみたいけど)。
点字図書館を創ることは分かっているのだから、読むべきところはそれまでの道のりと歩み方となるわけで、本間一夫さんの歩み方がよく伝わる1冊です。

進路についてどう考えるのか、仲間となにを語るのか、出生の秘密を知りどう思うのか、結婚したい女性にどう打ち明けるのか、そういった道を歩み、どのように点字図書館を創り、持続させ、発展させるのか。戦争をどう切り抜け、なにを頼り、なにに救われ、なにを生かすのか。

本間さんには全盲というハンデがあり、その一方で関西学院大学専門部文学部英文科を首席で卒業されたほどの頭脳があります。そんな方が、一つひとつの問題とどう向き合うのかはとても興味があります。
けれど読み進めていくと、心は同じ人間、気持ちで自分を動かしていく姿が描かれています。超人的ではなく、とても誠実に。
だから読者は純粋に、私も頑張ろう、と勇気が湧いてくる。
また、本間さんのまわりの人たちの、だれかの役に立ちたいという気持ちを読み、読者も自然に、だれかの役に立ちたい、と心が立ち上がります。

著者である金治さんは、「大げさに書かずに誠実に書く人」。
その姿勢が、本間さんのお人柄やまわりの人の心持ちにぴたりと合って、さらによく伝わります。だから、結末がわかっているのに心に響きます。

あとがきに、本間さんが「感激屋さん」だったと書かれていて、思わず納得。その豊かな心は、幼い頃に注がれたたっぷりの愛情と、たくさんの本によって育まれたのかもしれません。
さらに本書には、点字の読み方がマスターできるコラムもあります。
いろんなことを教えてくれる1冊です。
たくさんの子どもたちや大人たちに読まれますように。