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『ほくほく おいもほり』
すとうあさえ ぶん なかたひろえ え ほるぷ出版
なるほど、おいもというのは掘るところから始まり、みんなで持ち帰る、焼く、焼けるのを待つ、ほくほく食べる、笑顔になる、この一連がそれこそ芋づる式に連なって現れる、まさに豊作の喜び。にぎやかで楽しい、ねずみくん家族の収穫祭。「はじめての行事えほん」シリーズのトリを飾る1冊は、踊って食べて笑っての大団円で感無量。

 
『のらねこバルとあひるのアヒージョ ふたりはいつもはらぺこ』
うえのよし 作 田中チズコ 絵 教育画劇
あ〜愉快愉快。名前からして酔狂な、バルとアヒージョの珍道中。オイシイ旅にするために、釣った魚や南極の氷で商売なんか始めるけれど、なんせ食いしん坊だからあれもこれも食べちゃって。そんなふたりが、今度は大量の卵を発見。さあ、食べるの?どうするの? ユルユル&パステルの脳天気ワールドが、そのままアニメになりそうな1冊。

 
『幼児童謡曲集 たんじょうび』
作詩 織江りょう 作曲 中村守孝 音楽出版ハピーエコー
「たんじょうび」「あかちゃん」「ゆびきり」など、新作の童謡10曲を収めた楽譜集。新しいけど奇をてらわず、素朴だけど洗練された詩。その詩の世界を守りぬく、柔らかなメロディ。心のまんなかにすーっと届く歌ばかり。全曲ハ長調で音域は1オクターブ内、伴奏もシンプル。園はもちろん、おうちでも♫

 
『「がく」「しゅう」江戸時代の思想家、安藤昌益をめぐる物語』
江森葉子 文芸社
ひとりの人物に心酔し、何年もかけてその人の物語を書くことの輝かしい執念。東北から自然界と人間を広く見据えた思想家・安藤昌益を、息子の「しゅう」とその友人「がく」の視点から描く。もっともだいじなのは土である。すべてが土の下で動く。とは昌益の唱える「土活真」の考え。著者の筆運びも、江戸時代の南部八戸の土に座りスケッチをしたようで天晴れ。

 
『サード・プレイス』
ささきあり 作 酒井以 絵 フレーベル館
家でも学校でもない中高生の第3の居場所「サプリガーデン」を舞台に、4人の中学生が自分らしさを取り戻し、一歩踏み出す4つの物語。こんな場所が日本にもっとあればいいけど、それが叶わないならこの本があればいい。5人目の主人公になればいい。本書は中学生の声に耳を傾け、彼らの空気感や距離感を掴んで書かれている。気持ちいい。

 
『おつきみパーティーまんまるまんまる』
ささきあり 作 酒井以 絵 フレーベル館
シリーズ第2弾は、お月見。今回もままこさんのもとで料理に挑戦する、あっくん&かよちゃん(私の名前から命名してくれたの♫)。豆腐とかぼちゃのだんご、さといももち、スイートポテト…。遊ぶように料理をしていく計算された誌面構成で、すぐにでも作りたくなる食べたくなる。ギフトにもお薦めの1冊。

 
『暗号サバイバル学園01 秘密のカギで世界をすくえ!』
作・山本省三 絵・丸谷朋弘 学研プラス
児童書に新しいジャンルが登場。それは「暗号」。普通の小学生・ハルトが入学した学校は、暗号学園ナゾトキア。もうこの時点でなんだか笑いが止まらない。主人公だけが活躍する本ではなく、読者の脳を冒険させてくれるのだから楽しいに決まってる。実際に、モールス信号や古代エジプト文字ヒエログリフも登場して想像以上に本格的。凄い。

 
『れいとレイ ルックアット ザ ブライトサイド』
うちやまともこ・作 岡山伸也・絵 絵本塾出版
わたしの家の隣に引っ越してきたアメリカ人のレイ。いや、日本に引っ越したぼくの家の隣に住むれい。どっちも正解。なぜなら、ふたりがそれぞれ一人称で語るから。英語を学び、つまずき、それでも学ぼうとするれいの姿に、英語を身につける本来の意味が子どもたちに伝わるはず。英語のブライトサイド(明るい面)が見えてくる1冊。

 
『おかしっこ学校はじめ組 はじめてのハリキリにっちょくにんじゃ』
作 北川チハル 絵 公文祐子 東洋館出版社
「なんでもさいしょは むずかしい」と帯の文字。大人だってそうなのだから、子どもならなおのこと。例えば初めての日直だって、みんな怖くてやりたくない。誰かが挑戦するけれど、やっぱりうまくいかなくて、でもその姿をみんなが見て…。はじめ組の個性豊かな仲間たちに自分を重ね、挑戦する力を身につける。いいなあ、こういうの。

 
『うれしい ぼんおどり』
すとうあさえ ぶん 種村有希子 え ほるぷ出版
生と死は、命の単純な時間経過としてシームレスに続いている。だから会える。繋がっている。お盆の日、ゆいちゃんが家族とお花を飾り、だんごを丸め、野菜で馬と牛を作り、盆踊りでご先祖様に楽しんでもらう。当たり前に描かれる、その1日の清らかなこと。シリーズ最高峰だと思う。子どもの心を正しく動かし、大人の胸のうちを整える1冊。

 
『北の里から平和の祈り ノーモア・ヒバクシャ会館物語』
文・こやま峰子 絵・藤本四郎 北海道新聞社
長崎で被爆して両親を失い、祖母とともに札幌に移り住んだ7歳のまり子の視点で、被爆者の思いと北海道ノーモア・ヒバクシャ会館の開設までを描く。現在、北海道には271名の被爆者がいるという。観光地でもある札幌の会館は多くの人に原爆の記憶を伝えるだろう。本物の詩人・こやま峰子さんの語り口は、いつも淡々と強く、響く。

 
『赤毛証明』
光丘真理 くもん出版
私立の中高一貫校に入学しためぐは、生まれながらの茶髪故に、生徒手帳に「赤毛証明」の印を押される。めぐは考える。両足のない紘や母子家庭のサワ、登校拒否の吉川さんと接したり、先生の家族を知ったり、『羅生門』の下人にも思いを馳せながら。ふつうって何?特別って何? 自分を掘り下げ、他者からも学び、自己肯定までのプロセスが心地よい1冊。

 
『ほっ ほっ ほたる』
すとうあさえ ぶん 相野谷由起 絵 ほるぷ出版
♪ ほっ ほっ、いいところ ♪ きつねくんが、うさぎちゃんと歌いながら向かう先は、あじさい畑?梅の木の下? それともそれとも…。ほっ ほっ、だんだん暗くなってきて、ほっ ほっ、そこは本当にいいところ。にっこり笑っていいこころ。蛍狩りを楽しむ日本人の目とこころが美しくて、誇らしい。伝えてくれてありがとうの行事絵本。

 
『カケ・マケちゃんとエルフ』
リナ・ジュタウテ・作絵 正岡慧子・文 瀬戸はるか・翻訳 世界文化社
13カ国で読まれているリトアニアの人気絵本が日本初上陸! 好奇心旺盛で遊びの天才、でもおかたづけは苦手なカケ・マケちゃん。そこへ、かたづけエルフが現れて…。クセになる色彩と独特の展開。リトアニアの匂い立つようなカルチャーとセンスが、子どものハートを掴み、気づいたらしつけまで!注目の1冊。

 
『おはなみバス』
すとうあさえ ぶん いりやまさとし え ほるぷ出版
ぶっぶー。おはなみバスにみんなが乗ってきて、お花見弁当を見せっこして分けっこして…。春に桜を見て、おいしいね、きれいだね、って言える幸せ。満たされるとは、こういうことだとハッとした。しかし子どもはそれを知っているので何度も「読んで」と言われるはず。読み聞かせる大人の心もほぐれてくるのは、まさに絵本の力!

 
『ひなまつりパーティー はるらんらん』
文 すとうあさえ 絵 山田花菜 レシピ提供 川島雅子 ほるぷ出版
季節の行事には先人の知恵が詰まっていて、美味しい食べ物がつきもので。それを作って食べて経験する! そんな絵本シリーズがスタート。第一弾は、ひなまつり。おひなさまのおすし、はるののはらサラダなど7つの料理が登場。あっくん、かよちゃん(なんと私の名前を!)、本屋のままこさんの活躍も毎回楽しみ。

 
『びっくりしゃっくりトイレそうじ大作戦』
野村一秋・作 羽尻利門・絵 佼成出版社
大定番の学校が舞台でありながら最初から最後まで新鮮なのは、タイトル通りトイレ掃除がモチーフだから。そして四年生の由治が向き合う相手が、友だちでも先生でもなく「校務員」の林さんだから。林さんが由治を救い、由治が林さんの背中を押し、トイレ掃除って面白い!とみんなの気持ちを変えていく。固定概念の解放が清々しい。

 
『きせきのスパゲッティー』
作・山本省三 絵・十々夜 フレーベル館
現代社会をリアルに生きる4年生が、それぞれ周囲の人たちと生み出した変化球スパゲッティー。3つの味が生まれるエピソードが気づくと次第にからまって、新しい未来を感じるキセキ。展開に、おおと唸らされる。巻末にレシピもついて、大満足のお料理読み物。

 
『もしも恐竜とくらしたら』
山本省三 WAVE出版
「もしも〜暮らしたら」シリーズの第3弾。お父さんの仕事の関係で、科学で蘇らせた恐竜を一日飼育する主人公。近い未来、それは決して夢ではないから面白い。恐竜豆知識がどれも興味深く、寝るときの姿勢とその理由には、なるほどと思ってしまった。子どもはもちろん大人も隅々まで読んでしまう1冊。

 
『ぽかぽかゆずおふろ』
すとうあさえ ぶん あおきひろえ え ほるぷ出版
「はじめての行事えほん」第8弾。ゆずをたくさんもらったからお店開いちゃうところで心掴まれる! このシリーズを私が「ジャグジーな」と形容するのは、いろんな角度からツボを押してくれるから。本作ののんびりムードは生き方のお手本にもなって、すでに心がぽかぽかだ。  
 
『蝶の羽ばたき、その先へ』
森埜こみち・著 小峰書店

突発性難聴で片耳の聴力を失った中2の結。次第に閉ざされていく心。しかし結は独りではなかった。思春期の研ぎ澄まされた感性が静かに動く様は、まるで蝶の羽ばたき。物語を構成する一文一文が、細胞のごとく美しい繊毛を持ち、常に微動している。その微動に身をあずけ一気に読んだ。


 

『だれもしらない図書館のひみつ』
北川チハル・作 石井聖岳・絵 汐文社
舞台は夜長森図書館、主人公は個性豊かな蔵書たち。借り手のない地味な本「ひかげのきりかぶ」が、さらわれた本の救出に向かうのだが…。事件の真相は温かく可愛らしく、本を楽しむ気持ちに垣根はなく。会話の端々まで愛が行き届いた、み〜んなに教えたい秘密の話! 

 
『ライオンのゆめ』平成童謡VOL.4
年に一度発行されるこの童謡詩集を楽しみにしている人は多く、もちろん私もそのひとり。おがたえつこ、江森葉子、関原斉子、矢崎節夫、西村祐見子、織江りょう、山谷寛。本物の詩人7名による童謡詩がセンスよく並び、あまりに心地よい。寝る前に読むと気持ちいいのです。

  
 
『盲導犬引退物語』
沢田俊子・文 大庭賢哉・絵 講談社
人の「人生」と犬の「余生」が寄り添って擦れ合って生まれる幸福。そして感謝。引退した盲導犬の5つの実話は、第1話「バルダのパワー」から読者を引き込む。人を通して犬を知り、犬を通して人を知る本。

 
『アサギマダラの手紙』
横田明子・作 井川ゆり子・絵 国土社
何千キロも飛び続ける蝶・アサギマダラと少女の物語。ふたりはともに、かつて友だちに嫌な態度をとったことを気にしている。国境越えレベルの話から、普遍的な心の痛みへ。物語を終わりから逆算すると、お話の作り方の勉強にも。

 
『青いあいつがやってきた!?』
松井ラフ・作 大野八生・絵 文研出版
4年生のサトシの前に現れた、青いあいつ。それはデリケートなサトシとは対照的な、あつかましくて無責任なワケワカランチンな存在。さあ、青いあいつを胸ポケットに入れ、すなわち精神バランスを手に入れて、一歩前に進むのだ。