lovely books

ご縁のあった素敵な本たち

『びっくりしゃっくりトイレそうじ大作戦』

大定番の学校が舞台でありながら最初から最後まで新鮮なのは、タイトル通りトイレ掃除がモチーフだから。そして四年生の由治が向き合う相手が、友だちでも先生でもなく「校務員」の林さんだから。林さんが由治を救い、由治が林さんの背中を押し、トイレ掃除って面白い!とみんなの気持ちを変えていく。固定概念の解放が清々しい。野村一秋・作 羽尻利門・絵 佼成出版社

『きせきのスパゲッティー』

現代社会をリアルに生きる4年生が、それぞれ周囲の人たちと生み出した変化球スパゲッティー。3つの味が生まれるエピソードが気づくと次第にからまって、新しい未来を感じるキセキ。展開に、おおと唸らされる。巻末にレシピもついて、大満足のお料理読み物。作・山本省三 絵・十々夜 フレーベル館

『もしも恐竜とくらしたら』

「もしも〜暮らしたら」シリーズの第3弾。お父さんの仕事の関係で、科学で蘇らせた恐竜を一日飼育する主人公。近い未来、それは決して夢ではないから面白い。恐竜豆知識がどれも興味深く、寝るときの姿勢とその理由には、なるほどと思ってしまった。子どもはもちろん大人も隅々まで読んでしまう1冊。山本省三 WAVE出版

『ぽかぽかゆずおふろ』

「はじめての行事えほん」第8弾。ゆずをたくさんもらったからお店開いちゃうところで心掴まれる! このシリーズを私が「ジャグジーな」と形容するのは、いろんな角度からツボを押してくれるから。本作ののんびりムードは生き方のお手本にもなって、すでに心がぽかぽかだ。すとうあさえ ぶん あおきひろえ え ほるぷ出版

『蝶の羽ばたき、その先へ』

突発性難聴で片耳の聴力を失った中2の結。次第に閉ざされていく心。しかし結は独りではなかった。思春期の研ぎ澄まされた感性が静かに動く様は、まるで蝶の羽ばたき。物語を構成する一文一文が、細胞のごとく美しい繊毛を持ち、常に微動している。その微動に身をあずけ一気に読んだ。森埜こみち・著 小峰書店

『だれもしらない図書館のひみつ』

舞台は夜長森図書館、主人公は個性豊かな蔵書たち。借り手のない地味な本「ひかげのきりかぶ」が、さらわれた本の救出に向かうのだが…。事件の真相は温かく可愛らしく、本を楽しむ気持ちに垣根はなく。会話の端々まで愛が行き届いた、み〜んなに教えたい秘密の話! 北川チハル・作 石井聖岳・絵 汐文社

『ライオンのゆめ』平成童謡VOL.4

年に一度発行されるこの童謡詩集を楽しみにしている人は多く、もちろん私もそのひとり。おがたえつこ、江森葉子、関原斉子、矢崎節夫、西村祐見子、織江りょう、山谷寛。本物の詩人7名による童謡詩がセンスよく並び、あまりに心地よい。まっ先に開くのは江森葉子さんのページ。巧いし、好き。

『盲導犬引退物語』

人の「人生」と犬の「余生」が寄り添って擦れ合って生まれる幸福。そして感謝。引退した盲導犬の5つの実話は、第1話「バルダのパワー」から読者を引き込む。人を通して犬を知り、犬を通して人を知る本。沢田俊子・文 大庭賢哉・絵 講談社青い鳥文庫

『アサギマダラの手紙』

何千キロも飛び続ける蝶・アサギマダラと少女の物語。ふたりはともに、かつて友だちに嫌な態度をとったことを気にしている。国境越えレベルの話から、普遍的な心の痛みへ。物語を終わりから逆算すると、お話の作り方の勉強にも。横田明子・作 井川ゆり子・絵 国土社